『福島県、不妊治療のリアル』~ここが変だよ地方医療~

割りと公言していることではありますが、私たち夫婦は妊活をするため、郡山市の不妊治療専門のクリニックへ通っています。通い始めたのが昨年2021年の1月からなので、現時点で1年10カ月目ということになりますが、一度去年の8月にはじめての妊娠にいたり、その後初期流産となっているため、その間を除くとおよそ年ちょっとの通院歴ということになります。

 

実はこの一年以上もの通院期間で、「ええ~~なにそれどっぎゃー-ん!!」と言う、一般世界に生きていては中々味わえないディストピア(地獄)のような体験を味わったりもしているので、そのあたりのことを今回は可能な範囲で赤裸々につづろうかと思っています。

でも一番は、「これもっと早くに知っときゃ良かった~」という妊活においてのポイントみたいなものを、これから赤ちゃんを迎えたいという方向けに少しでも提供できればという気持ちです。
※あくまで医療素人の個人的な体験なので、一事例として参考程度に(そして大目に←)見て下さいね!

みさと

前提として、私たちの住んでいるエリアには不妊治療クリニックが2件しかないこと、人工授精以上の治療をしたい時にはさらに遠くの病院に転院しなくてはならないという環境があります。福島県の不妊治療クリニックの少なさは県内外で有名らしく、先日この危機的状況を受けて県による「不妊治療協議会」も発足されたそうです。

ここ変1:まず、基礎体温一か月分を手書きで記録していかないと怒られる。

クリニックは基礎体温を取っているのが当たり前と思っている(節がある)

妊活に「基礎体温」とやらが必要らしい…という話を風のうわさ程度に聞いたことのある人も多いことと思います。はい、必要です。しかも初めての診察で受付にて言われることもあります。「基礎体温って持ってきてますか?」と。特段きちんとした性教育も受けてきていない私たち日本人女性のほとんどが、たぶんそこで思うでしょう。「え?持ってきてない(と言うか取ってない)ですけど何か?」と。まずクリニック側と受診側との意識の食い違いはここから始まります。

なぜか「手書き」にこだわる医者。

いやいや手書きではつけてなくともアプリでそんなん取ってますよ~バッチリ!という方も、気を付けなければなりません。医者によっては基礎体温は“手書きで”という点を重要視している場合もあります(理由は分かりません)。最近では、それこそ大手の基礎体温アプリでも対応してくれるクリニックが増えたようですが、そこは地方。なめてはいけません。あらゆるコミュニケーションが未だ電話かFAXのこのアナログ王国にあって、「アプリで基礎体温診る」なんてことは、たぶんあと半世紀は待たないと実現しなさそうです…涙(個人の意見です)

かく言う私も、初診の時にもちろん手書き基礎体温なんて用意しておらず、「でも大丈夫!アプリでしっかり計測したデータを、きちんと紙にプリントアウトしてきたもんね!」と足取り軽く診察室へ入ったのですが、医師の「あ~これじゃ見づらいんですよね~うちの基礎体温ノートに全部書き写してくれません?」と鼻で言われて瞬殺でした。沈。まじ沈です。そうなんだーしょうがないですなーと思いながらも、こんなところでつまづくわけにはいかないと、しぶしぶ数か月分を基礎体温表に手書きで写しましたとさ。

みさと

診察の度に手書きで提出しなければなので、地味に時間が取られるんだよね。働きながら通院している忙しい女性にとってこの「手書き基礎体温表」は結構負担大かも。

ここ変2:え?今日って何診る日なの?え?次は何のために来院するの?

基礎検査はやることが明瞭、だけど…。

初診の後は、妊娠を妨げるような要因がないかを調べる一連の基礎検査がはじまります。抗体を持っている・持っていない、改善すべき要因がある・ない等で、検査を終えるのには個人差はありますが、おおむね順調であれば1~2カ月程度で検査は全て完了します。私の場合は子供のころに風疹ワクチンを打っていなかったためか、風疹抗体をつけるために、2回ほどワクチンを打ち、1月から始めた基礎検査が3月頃に完了しました(妊娠してから風疹にかかると母子ともに悪影響が強く出ると言われています)

そこまでは明瞭です。やるべき検査もその目的も明確なため、「はいこれクリア~」「じゃあ次これ~」といった具合に、問題がなければどんどん進みます。

が、しかしです。

基礎検査が晴れて終了!いよいよ妊活本番だ~となったのはいいものの、次の検診以降、「え?今日って何診る日ですか?」「え?なんか勝手に予約取らされているけど、次回の来院何のため?」という、医師の説明不足によるモヤモヤ診療ルーティンに入ってしまったのです。

卵胞期~排卵~黄体期の流れを予め理解して受診する必要あり。

一年以上通った今だからこそ、「ああ次回は卵胞の育ちからチェックするのね」とか「排卵しているか確認するのね」といった具合に“当たり”をつけて納得し、予約を取れるようになりましたが、初めのころは医者の言われるままに次回の予約だけ取って、診療内容も説明されず内診台に座って股開いて機械でぐりぐりされて、そこでも何か説明されるわけでもなく看護師にだけ専門用語で口早に何かを伝えて、問診でも何言ってるか分かんないくらいの早口+専門用語で何かを説明され、とにかく「次回の予定を〇日あたりに取って下さい」だけをキャッチして急いで予定を確認する、みたいな流れで一連の流れが終わっていたので、今自分の体がどんな状況であるかさえも分からないまま通院しているという有様でした。

みさと

事前の知識を結構つけてからでないと、医師の専門用語を理解できないかもしれません。もちろん、きちんと説明してくれる医師であればいいのですが…。

ここ変3:質問はポストイットでしか受け付けません。

これははっきり言って、医師に問題があります。
法律やインフォームドコンセントにもしっかりと定められているように、医者には説明する義務、患者には知る権利があります。私の通っているクリニックは質問も予め基礎体温に「ポストイット」で貼ってすることになっているので、問診でとっさに分からないことが出てきても聞きにくい雰囲気があります。医師の方も患者に質問させないために、あえて口早で分かりにくくしているのでは?と思ってしまうほどの問診で、そのためか、こちらが少しでも疑問の色を顔に出すと、「私はきちんと言いましたよね」みたいなことを間髪入れずに言ってきます。つまりは“保身”に走っている、ということでしょう。産婦人科は医療業界の中でも特に訴訟率が高いと聞きます。その事態を恐れるのは仕方のないことですが、それはきちんと医師としての義務を果たしてからの話。説明もなしに“言い逃げ”のような現状の姿勢では、かえって患者の不信を買い、こんな風にブログに書かれたり(←)、大きなクレームにつながったりするものです。

みさと

はじめはこの「ポストイットでの質問形式」って、コロナ感染対策なのかな…?と思っていたのですが、実はコロナ以前からやっていたそうで…。医師曰く「今まで色々やってみてこれが一番良かったから」とのこと。さすがにその発言には辟易しました。「一番良かった」というのは、おそらく“医師にとって一番都合が良かった”というだけの話です。患者としては、その場での医師のコメントを聞いて「それってどうゆうことですか?」という質問することの方が多いから、ポストイットだけでは到底コミュニケーションが足りておらず、インフォームドコンセントも医療法にも反している、ということになります。

ここ変4:「私のことが信用できないの?」というメンヘラ医師

参考になるのか分かりませんが(というか通うのやめたら?と言う声が聞こえてきそう…)、私がこの「なーんも説明してくれない医師」にどう対応しているかをご紹介します。ずばり、「正面バトル」です(ますます参考にならない)
私は今までのところきちんと基礎体温もつけているし、診察にも基本的にほとんどスケジュール通りに通っています。やることはやって、気乗りはしないもののポストイットに質問も用意して、こちらに非のない状況ではあるのです。それでも医師は「このポストイットの質問、これ何が聞きたいの?」「何でこれを知りたいの?」と言ってきます(地獄です)。そこでめちゃ冷淡に答えます。「書いてある通りです。それだけ教えてください」と。質問は誤解(曲解)の余地のないように、箇条書きで端的に、事実のみ(子宮内膜と卵胞の大きさを教えてください等)を既述するようにし、医者にそれ以上のことを求めないようにしました。医師はそのことが相当不本意だったのか、「私のことが信用できないの?」と不満を漏らしてきましたが、答えは「YES!その通り!」です。基礎的な情報も開示せず、治療の相談にも乗らずに「自分で考えて下さい」と突き放し、ただただ次回の予約だけさせるという仕事ぶりでは、当然の状況と言えます。私としてはこの完全に割り切った姿勢に切り替えることで、余計なストレスが軽減されました。

みさと

クリニックを変えるのが一番良い解決法ですが、はじめに述べた通り、私たちの住むエリアには不妊治療クリニックが現状2件しかありません(福島県の中核都市です)しかも転院すると基礎検査をはじめからしなければならない場合も多く、時間も手間もお金も倍でかかってきます。特に「時間」との勝負な不妊治療において、これはまさにジレンマ…。

地方医療の現実まとめ

これまでの愚痴(←)を整理してみると、私たちが実感値として得ている地方(福島県)医療の課題とは以下のようになります。

地方医療に感じる課題

  • 不妊治療専門の医療機関(クリニック・病院)の少なさ
    既述ですが、私たちの住んでいる福島県郡山市は不妊治療専門クリニックが2件しかありません。いずれも特定不妊治療指定医療機関(所在地の自治体で指定を受けている全国の医療機関)ではありますが、それぞれ医師が一人だけの個人医院で受け入れられる患者数も限られています。
  • アップデートされていない医師の感覚と、情報開示の足りなさ
    例えば「基礎体温は手書きで」がその典型でしょう。もちろん施設指定のノートの方が医師としては見慣れているかと思いますが、患者にとっては負担になります。またWEBを未だに上手く活用できておらず、大切なお知らせも適切にできていません(私たちは人工授精へのステップアップを相談した際、『あ、うちはもう一杯ですよ』と医師にさらっと断られましたが、一番はじめのステップアップの人工授精が、まさか指定医療機関で受け入れられないとは思っていなかったので、愕然としました。そのくらいパンク状態ということかもしれませんが、重要なことこそきちんとした周知が必須です。※そのあと結局人工授精受付けてないは医師の言い間違いだということも判明…。だからしっかり公式に周知しとけば良かったのに…(ぼそ)。
  • 「不妊治療」「性についての知識」の乏しさ
    これは地方だけでなく日本全体の問題かもしれませんが、不妊治療はもとより、性についての知識の乏しさをとても感じます。不妊治療は当事者になってみなければ分かり得ないこともありますが、「性のこと」についてであれば全人類が当事者です。体について皆が等しく正しく知ることは、将来の出産や子育てにおいて必要なことだと感じます。特に少子化にプラスして人口流出も喫緊の課題として抱えている地方においては、現状が「産み育てたい故郷」であるかをもっと真剣に見つめ直していかなければなりません。

みさと

ちょっと熱くなりすぎて長くなってしまったので、具体的に私が思う「妊活に向けて準備しとけば良かったこと」次回の記事にまとめようと思います~~!次回は地獄編じゃないのでご安心を(笑)

1 COMMENT

『妊活前の全女性に告ぐ!やっておいて損はない、体を知るための基本の”き”。 » 佐藤夫妻のふくしま移住日記

[…] 前回の記事では、私の通っているクリニック特有(だと信じたい)の不条理をつづってきましたが、ここからはこの一年以上ものクリニック通いを踏まえて、「これって一般的に知られてもいいよなー」と感じている妊活のポイントを記していきます。 […]

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