こんにちは、佐藤夫妻です。福島で不妊治療・無痛分娩を経て、第一子が誕生してから9ヶ月。幸せなはずの日常の中で、私は何度も「これ、無理ゲーじゃない?」と立ち尽くしました。
今回は、育児便利グッズの紹介……ではなく、当事者として肌で感じた「行政サービスの歪み」「男性育休の壁」「社会への違和感」について、正直な気持ちを綴ります。これは、私のひとり言および次世代へのささやかな願いです。
みさと
1. 行政サービスは「産後の脳」に優しくなさすぎる
産前、母子手帳と一緒に渡される大量のA4チラシ。あれを睡眠不足でボロボロの産後に引っ張り出し、読み解くのは至難の業です。窓口、申請方法、運営主体がバラバラで、いまだに「対面説明」や「電話予約」が主流という非効率さ。外出が困難な産婦にとって、これは高すぎるハードルだと感じました。
【切望】産前・産後サービスのオンライン化を!
「Aさんの場合はまずここ、次はここ」と、自分の状況にあったサービスをオンラインで直感的にわかる案内が整ってほしい。千葉県浦安市のように、空き状況の確認から申請までがオンラインで完結する仕組みこそ、今の時代に求められる「育児の最低限のインフラ」ではないでしょうか。
2. 「27日」の男性育休で何が変わるのか
福島県の男性育休取得率は令和4年時点で約21.7%。全国平均よりは若干高い(※1)ものの、依然として8割の家庭で母親が育児のメインを担っているということです。さらに平均取得日数は27日程度。
個人の経験から言えば、核家族なら最低でも産後3ヶ月は「戦力」として横にいてくれるのが理想です。家事・育児を「手伝う」レベルではなく、産前から一緒に準備を整え、夫婦でスタートラインを揃えられる社会の空気が広がってほしいと切実に思います。
みさと
3. 選択肢が少なすぎる。不妊治療と無痛分娩の現状
私たちの暮らしている福島県中通りでは、体外受精以上の高度不妊治療ができる医療施設は、把握している限りわずか2箇所(うち1箇所は福島医大。2026年1月現在)。不妊治療の機会すら得られずに諦めている家庭がどれほどあるだろう、と考えずにはいられません。
また、私が出産をした須賀川市の公立岩瀬病院では、無痛分娩は月30件の分娩のうちわずか1件程度だとか(※2025年4月時点。直接医師に聞きました)。心身を守るための選択肢が「特別なもの」ではなく、もっと当たり前のインフラとして整っていく環境を願っています。
みさと
体外受精にステップアップしました【福島医大編】
4.「女性活躍」の裏側で、私たちは疲弊している
世の中での「女性活躍」という言葉ばかりが先行し、キャリアも育児も完璧にこなすことが求められる構造に違和感を感じるのは私だけでようか?周囲の環境や男性側の意識が変わらないまま、女性だけが「もっと頑張る」ことで全てを背負う社会は、すでに限界を迎えています。
どんなに親が努力しても、幼い命を守りながら生活を営むには、物理的に「手」と「目」が足りません。核家族化が進んだ現代において、育児を家庭内だけの責任に押し込めるのは、無理ゲーどころか生存に関わるリスクであるという共通認識が必要です。
5. 先進自治体に学ぶ「産後ケアのユートピア」
私たちが直面した「無理ゲー」な現状は、決して解決できない問題ではありません。
現に、以下の自治体では「母親の心身を守る仕組み」がすでに標準装備されています。
【比較から見える解決策】福島が「子育てしやすい県」になるために
福岡県福岡市:産後ケア上限20回の「安心ストック」
福岡市では、全国で一般的な「7日間」の産後ケアを大幅に上回る、宿泊・日帰り・訪問を最大20回まで、産後1年間にわたって利用できるサービス提供しています。こういった「いつでも頼れる」というお守りは、育児に追い詰められそうになった時の精神的な安定剤になります。
千葉県浦安市:スマホ一つで完結する「産後インフラ」
睡眠不足でボロボロの脳に、大量のチラシを見たり、そのうえで電話予約するのは酷な作業。浦安市のように、空き状況の確認から申請までがオンラインで完結し、ケース別の利用モデルが示されていれば、時間のない育児中でも必要な支援にリーチしやすくなります。
東京都世田谷区:産後ドゥーラを「ワンコイン」で
「リフレッシュ」は贅沢ではなく、親が心身を保つための必需時間です。産後ドゥーラを1時間数百円の自己負担で利用できる世田谷区のような助成があれば、整体や美容院などのリフレッシュ時間も、気兼ねなく取れるようになるのではと思います。
産後ドゥーラとは?
産後すぐの不安定な時期に、母親の「心」と「体」の両方を支えるパートナーです。単なる家事代行ではなく、母親の栄養を考えた食事作りや、沐浴補助などの赤ちゃんのお世話、そして何より「母親自身の悩み」を聴いてくれる、プロの育児伴走者です。
| 多くの自治体(現状) | 先進自治体の例 利用上限 | |
|---|---|---|
| 利用上限 | 6泊7日程度 | 最大20回(1年間有効) |
| 申請方法 | 窓口・電話・紙の書類 | スマホで完結・24時間受付 |
| 家事支援 | 親族頼み・全額自己負担 |
産後ドゥーラへの公的助成 |
| サービス名 | 主な役割 | サポート内容の重点 | メリット |
|---|---|---|---|
| 産後ドゥーラ | 母親のサポート | 母親の心身のケア + 簡単な家事・育児 | 母親の「一番の理解者」として寄り添ってくれる。 |
| 家事代行 | 家事のサポート | 掃除・料理・洗濯などの家事全般 | 溜まった家事を一掃して、生活環境を整えてくれる。 |
| 助産院(産後ケア) | 医学的・専門的ケア | 授乳指導・乳房ケア + 母子の健康管理 | 専門知識に基づいた授乳や赤ちゃんの健康相談ができる。 |
みさと
そうなれば福島はじめ地方は、もっと育児のしやすい場になると感じています。
6. それでもやっぱり、「産んでよかった」と言える
一人の人間を育てる経験は、何物にも代えがたい「人生の豊かさ」につながるということを、私は自分の育児体験を通じながら、改めて実感しています。昼夜問わず我が子に注ぐ愛情を通じて、「自分もまた、こうして誰かの手間と愛によって生かされてきたのだ」と、この世界が愛でつながっていることを再認識させられる日々。
こういった無償の愛を知る人が増えることで、社会全体のトゲは丸くなり、より寛容で優しい世界に近づくのではないかと思っています。
大変すぎる毎日への報酬は、スクスクと育ってくれている我が子の姿。
おわりに:愛のバトンを繋ぐために
不妊治療、妊娠、出産を経て「母」となった今の自分だからこそ、見えてきた現実や想いがありました。
この経験を制度や社会規範によって辛い思い出にしたくない。福島や日本全国のあらゆる地方が、母となった人に寄り添い、ともに手と目を貸してくれる優しい世界になって欲しい、そんな未来を子どもたちに渡したいという願いを胸に、これからも発信し続けたいと思います。
▼ 出典・参考データ
※1:福島県:男性の育児休業取得促進について
※2:福岡市・世田谷区・浦安市の各自治体公式サイト(産後ケア・子育て支援事業)



