ゲストハウスを一年やって分かったこと。

guesthouse Nafshaをオープンさせてから、もうすぐ1年になります。
宿なんてやったことのない素人夫婦が、やったこともないリノベーションを経て、様々な葛藤と奮闘を超えてここまでなんとかやってきました。
コロナ禍での開業ということもあり、もはや「コロナだからか?」「私たちだからか?」という分からなさを進んできた感じではありますが、そんな中でもご宿泊下さったゲストの皆様から学んだこと、この小商いを通して感じたことを綴っておこうと思います。

やりたいのは…本当に「宿」?

これはオープン前にも時々書いていたことではあるのですが、私たち夫婦がやりたいのは「ゲストハウスなのか?」ということは、常々思っておりました。というよりも、「やりたいのは宿ではない」と言い切ったほうが良いかもしれません。
じゃあ何がやりたいのか?というと、それは“場”をつくること。なぜ“場づくり”をしたいかと言うと、それはあらゆる人間的なつながりが“場”があってはじめて生まれるものだということを、夫も私もこれまでの人生の中でつくづく感じてきたからなのです。
果たしてこの一年間、“場”としてのゲストハウスをやれてこれただろうか
ここが今回振り返りたいポイントでもあります。

みさと

一年やってみて、やっぱりもっとゲストと話したいな~って思うことが多かったよね。
とにかく、自分たちもここでの暮らしに慣れるのに精一杯な1年だったね。

あきら

移住・多拠点と相性が良い…?

場づくりとしてのゲストハウスをやれてこれたか?という問いへの回答は、今のところ「いいえ、できてません」になるでしょう。一日一組という極小キャパかつ私たちの住居でもあるということから、「がんがん人呼んで泊まってもらうぜ~」という打ち出し方がしにくい私たちのゲストハウス。初年度ということもあって慎重に慎重を重ね、まずはこのNafshaという場を理解してくれる方に来てもらえるような発信をしてきました。
とは言え、はるばる遠方から泊まりに来て下さるゲストのご期待に、どれだけ応えられているのか…もう毎回はらはらで、当初の「私たちの暮らしをみてもらう~」というゆるい感じはどこへやら。ご予約が入るた度にめっちゃくちゃ準備をして「これって私たちの本当の暮らしなのか?」という違和感が少しずつ膨らんでいったのでした。

みさと

やっぱりお金をいただく「宿」である以上、いい加減なことはできないからね…

しかし!

その一方で感じはじめていることがあります。「移住・多拠点」のお手伝いに、私たちは向いているのではなかろうかということです。
一端の宿として運営していくことも、「商売」という観点では大事です。だけど私たちと同じような宿泊費でもっといいサービスを提供できる宿は、星の数ほどあります。
美味しいご飯を食べてもらって、ファンシーな寝具で寝てもらうような「宿」は提供できないかもしれない。でも私たち夫婦の強みって「私たち自身が移住者であること」なのではないかと気づいたのです。

あきら

特にここ旧・岩瀬村は須賀川市の中でも田舎地帯。独特の文化やコミュニティがあるから、誰かに聞かないと本当に分からないことが多いんだよね。
冒険ゲームの「村人1」とかに出会って地道に情報収集するような生活を、ここ2年やってきたよね。最強の情報源は「回覧板」だし。

みさと

結局のところ、いま一番ほしいのは「仲間」

旧・岩瀬村に移住してきてから2年。私たちがここでで暮らし、商いをするにあたって一番欲しいのは「仲間」です。
車がないと一瞬で生活困難におちいり、かつてはあった個人商店もほとんど潰え、自転車が走れるような公道も少なく、一体ここの人はどうやって暮らしているのだろうかと疑問をもたずにはいられないようなところに、私たちは住んでいます。そんな田舎に人を呼んでましてや商売をするなんて…。はい、無謀です。知ってます。
だけどじゃあこのままでいいんですか?ということを、私たちはいつでも問いたいわけです。

なんで商店がなくなったの?なんで若い人が出てったきりなの?収めた税金どこに使ってんの?今いる子供たちの選択肢せばめていいの…?「若い人がいない、子どもが少ない」という現状だけを見て悲観するのでなく、その奥にある「なんで?」を馬鹿にせず考え「じゃあなんとかしたいよね」ってまじめに行動に移せる大人が、本当に必要なんだと思います。

あきら

この前参加した区の総会ではじめて、僕たちの住む矢沢地区がこの25年で23%の人口減で、過疎地域に認定されたことを知ったんだ。

みさと

総会でも人足でも常に私たちが最年少。過疎地あるあるかもしれないけど、“あるある”で終わらせちゃダメだよね。

「どこに暮らすか」の決め手は、やっぱり“人”。

移住をしてきて、つくづく感じていることがあります。
それは、後にも先にも“人とのつながり”が一番重要だということです。
私たちは幸いにも、夫の一族がこの地区の出身であることが助けになっています。もちろん、このような血縁関係があって移住する人ばかりではないと思うので、そういう時こそなおさら「温かく迎えてくれる人」とのつながりが大事になるのだと思います。
人を惹きつけるのって、プロが考えた美しいキャッチコピーでもシュッとした商業施設でもありません。そこに住む“人”こそが、最大の魅力となるのです。

みさと

福島の人たちってシャイだから、はじめのリアクションがそっけなく感じることが多かった。歓迎されてないんだと思って、地味に傷ついたよ 苦笑。
ははは。

あきら

そういった意味で、私たちのゲストハウスは「外から来てくれた人の最初の窓口」として機能できるのでは…と思っています。せっかく来てもらうなら、ここ岩瀬が(そして須賀川や福島県が)「一度で終わり」より「何度でも来たくなる」場所であって欲しいなと思うんです。

あきら

移住のお手伝いとして、昨年の県の移住・定住プロモーションに参加できたのは良かったよね!

2022年のキーワードは「移住」と「イベント」!

ということで、2022年の佐藤夫妻の行動指針は「移住」「イベント開催」にしていこうと思っています。“旅と暮らしのあいだ”の宿として、夏ごろには東京で移住のトークイベントを開催しようと画策中。それと同時に、今年はコロナでできずにいたNafshaでのイベントも、定期的に打っていけたらなと思っています。地元の人にもぜひ足を運んでもらいたいんです!
もろもろ準備中なので、ぜひ春以降を楽しみにしていて下さい✺

耳より情報!

  • Instagramではちょくちょく更新しているのですが、須賀川市の街中に『atelier Nafsha』として、編集室のような一室を設けています。
    過疎化の一途をたどる市街地の空きビルを、どうにか盛り上げいこうというオーナーの意向に賛同し、地元クリエイターがじわじわ集まりつつあるこの場所。
    「須賀川でなにかしたい!」「空きビル気になる!」という方はお繋ぎいたしますので、ぜひお問い合わせ下さい(InstagramのDMが一番はやいです)

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