「地方×クリエーター」の可能性を求めて、nacre始動!

ZINE nacre

ゲストハウスを営むかたわら、フリーランスのライターとしても活動する美郷。その美郷がメンバーとなっている活動のひとつに、「多拠点クリエイティブチーム nacre(ナクレ)」があります。
実は今年の夏、須賀川の魅力を詰め込んだマガジン『ZINE』を自主制作したnacre。今回はそのZINEについて、地方でクリエイターが活躍する可能性について、たっぷりとご紹介していこうと思います!

多拠点クリエイティブチーム nacreとは?

まず、nacreについてご紹介しましょう。
多拠点クリエイティブチーム nacre」とは、様々な場所で自分たちのクリエイティビティを生かして活動をするチームです(そのまま)。“nacre” がフランス語で貝殻の裏のきらめきを意味するように、一見すると何の変哲もない日常や日々の暮らしの中に“かがやき”を見つけ、磨いて表現することを目的として結成しました。
メンバーはデザイナーの川口明日香、ペインターのささきさとみ、そしてライターの佐藤美郷の3人。川口とささきは埼玉県在住、佐藤(私)は福島県在住です。

みさと

結成したのは2020年で、一番はじめの制作として、「レターセット」をつくっています!
nacre レターセット

コロナ禍でオフラインでの「伝える」を大切にしたいと感じたことから、レターセットを制作。

nacre レターセット

貝殻の裏のきらめきをイメージして書いたささきの絵をつかい、nacreの世界観を前面に出している。

ZINE nacreは4つの章で構成

レターセットの次に制作した今回のZINEは、全23ページフルカラーで、4つの章立てで構成しています。
そもそもこのZINEをつくろうと決めたのが、「ナフシャに来たお客さんに、須賀川のこと知ってもらいたよね」という理由からだったので、この冊子の中にはとことん、“私たち”が実際に感じた須賀川の魅力を詰め込みました◎

ZINE nacreの章立て

  • 第一章:「場をつくること」~guesthouse Nafshaができるまで~
  • 第二章:「暮らし」~里山に暮らす~
  • 第三章:「来て、見て、つくる」~旅から生まれるクリエイション~
  • 第四章:「リアルを感じる」~いま“会うこと”の意味~
結成がコロナ禍真っ只中だったということもあって、実際に“会うこと”や“五感で感じる”ってことにフォーカスして構成を考えたよ。

みさと

ZINE nacre 目次

ZINE nacreの目次ページ

アーティスト・イン・レジデンスについて

実は表紙にも『私たちのアーティスト・イン・レジデンス』という言葉を使っているのですが、「アーティスト・イン・レジデンスって初めてきくよ」という方もきっと多いですよね。簡単に説明すると、芸術家(やクリエイターなど)が一定期間ある特定の場所に滞在して、その時に感じたことや得たインスピレーションをもとに制作をする、ということを指しています。英語の頭文字を取って、略して“AIR”と表記されるので、ここでもそのように記しますね。
AIRの歴史は古く、17世紀にフランス王立アカデミーが「ローマ賞」を受賞した芸術家をローマに留学させたことに端を発する、と言われています。その後は現在に至るまでヴィジュアル・アートに限らず、演劇、パフォーミング・アーツ、ダンス、学術研究など様々なジャンルにおいてAIRは浸透しており、国内外様々な施設でアーティストを受け入れる施設や団体も多く存在しています(参考:美術手帖)。

みさと

AIRの歴史はここまでにして、次からはなぜnacreが“AIR”という言葉を使ったかについて話しますね!

いま地方には「クリエイター」が足りない

クリエイターいない問題は、現在の地方の抱える課題としてじわりじわりと浮上してきている感があります。
「印刷費は出すけどデザイン費は出さない」というひと昔前の常識からアップデートされていない発注者も多いため、都会ほどの仕事量までとはいきませんが、それでもコロナ禍になってから非対面式のコミュニケーション(WEBなど)が加速したことにより、地方の意識も「紙以外のツール力を獲得せねば」という流れになってきているのは確かです。
これまでの「会って話す」が出来なくなったこと、そして永遠の人手不足問題を解決するめに、「遠くの人にどれだけ魅力を伝えるか」という重要性に気付き始めているのです。

コロナは一気にいろんな課題を浮き彫りにしたよね。

みさと

地方での仕事や産業を見てみると、福島で言えば農業・漁業、そして土木建築などのいわゆる「第一次産業」が盛んです。必然的に仕事もそれらの業界の求人が多いですし、大企業の工場などで働く人もたくさんいます。これらの仕事は直接消費者とやり取りをする、いわゆる「B to C」のビジネスというより、企業間での仕事の受発注を行う(あるいは市場へ出荷する)「B to B」の仕事に分類されます。
実際のところ、「B to B」よりも「B to C」の方が、デザインやクリエイティブなアイデアが求められることって、多い気がしています。直接消費者に手にって選んでもらうためには、その商品が「どのように良いか」ということを伝えなければなりません。そのために“伝える力”、つまりはデザイン力やコピーライティングなどの訴求力が必要になってくるのです。

植物イラスト

川口はゲストハウス周辺に咲いていた草花をスケッチし、水彩画を描いてくれた。

第一次産業メインで、これまでこの“伝える”とうことにあまり注力してこなかった地方企業が、今この問題を目の前にして困っているのは明らかです。「伝えたいけどどうしたらいいか分からない」ということです。そこに地方へのクリエイターの参入の余地が十二分にあると考えています。
また、この伝える力”とはイコール“ものを見る力”とも言い換えられます。つまりは誰もが「こんなもの」と思うものでも、見方を変えて、光を当てる角度を変えると、「きらっ」と輝くポイントがある。そのことを馬鹿にせずに考えて向き合って表現していくことに、クリエイティビティの真価はあります。そしてこのことは仕事においてだけでなく、地方に住む人が自分たちの暮らしを「実はとても良かった」と気づく視点もくれるように思うのです。

薫風

ささきは5月に訪れた時のこの岩瀬地区の雰囲気を一枚の抽象画に表し、題を『薫風』とした。

いま地方(福島)には、「自分たちの故郷が好き」と胸を張って言える大人が驚くべきほど足りていません。「自分の地元のどこが好き?」と聞いても、「いやーここには何にもないから」という回答がほとんどです。それが本音かどうかは分かりませんが、それでも第一声に「自分の住んでるとこ、ここが良いよ!」と言える大人がたくさんいて欲しいと強く思います。
「ちょっと視点を変えて自分たちのこと、見てみない?」という願いを込めて、このZINEでは“AIR”の紹介とその取り組みについて紹介しています。

旅してつくる、の大先輩を発見!

その土地のキラッと輝く魅力を表現するために活動をはじめたnacreでしたが、そんな私たちの大先輩がかつて須賀川を訪れていたということに、今回の制作を進めるうちに気付きました!彼の人の名は…「松尾芭蕉」!!!
須賀川の街中にある「風流のはじめ館」では、『奥の細道』の道中で芭蕉がここに6泊7日したときの様子が展示してあります。制作やらイベントやらで疲れ切った頭を休めに、ぼーっとその展示を見ていた時のこと。私たちの頭に「ぱっかーーーん!」とひらめいたのが、「松尾芭蕉って私たちの先輩じゃね?」という気づきだったのです。自分のクリエイション(俳諧)で、東北の各地を渡り歩いて旅をして生きた彼の生き方に、ひどく共感して心打たれ、励まされたのでした。
そして生まれたのがこちらのキャラクター・・・

芭蕉せんぱい

今回爆誕した「芭蕉せんぱい」

みさと

わたし達の大先輩、「芭蕉せんぱい」は、疲れた時にふっと沁みるような良いことを言ってくれるよ◎

これからのnacreに乞うご期待!

そんなこんなで、nacreと今回制作したZINEについてのご紹介でした。
つらつらと書いてきましたが、つまるところ「楽しい!うれしい!大好き!」が私たちの原動力。これからもワクワクみんなが笑顔になるようなクリエイションを爆発させていきますので、ぜひ楽しみにしていてください✯

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